写真・動画納品の検収— 60日起算
公開: 2026年9月2日
商品撮影・イベント映像・SNS用ショート動画など、写真・動画の納品はクラウドストレージや共有リンクで行われることが多いです。
物理的な「受け取り」がない分、いつ給付を受領したかが曖昧になり、60日起算の起点もぶれやすくなります。
解像度・カット数・編集版数・使用権の範囲など、検収条件が言語化しにくい領域でも、台帳と記録の型を決めておけば後追いトラブルを減らせます。
本記事では写真・動画納品特有の検収記録と受領日の決め方を整理します。
トリカク(torikaku) では納品形式にかかわらず受領日・支払期日を台帳で管理し、超過リスクを一覧できます。
1. 写真・動画納品で起きやすい曖昧さ
1-1. リンク共有=納品かプレビューか
Google DriveやDropboxのリンクが届いても、契約上は「確認用プレビュー」か「本納品」かで意味が変わります。
発注書面に納品物の形式(RAW/JPEG/ProRes等)と、リンク共有を本納品とみなす旨を書いておきます。
60日の数え方は支払60日ルールの起算点を参照してください。
1-2. 修正版の連続納品
動画編集ではv1→v2→v3と版が重なり、どの版で検収完了したかが記録に残らないことがあります。
版ごとに台帳行を分けるか、最終版の検収完了日のみを受領日とするかを事前に決めます。
1-3. 権利・使用範囲の確認
ファイル自体は届いていても、モデルリリースやBGMの利用許諾が揃っていなければ商用利用の検収は完了しません。
検収チェックリストに権利関係の確認項目を入れておきます。
2. 受領日を決める実務ルール
2-1. ダウンロード完了日 vs 検収承認日
社内ポリシーとして「検収権限者が内容確認し承認した日」を受領日とする運用が一般的です。
リンク到達日だけでは品質・仕様の確認が終わっていないため、起算日に使うと争いになりやすいです。
2-2. 検収完了メールのテンプレ
「〇月〇日付納品の商品撮影100カット(JPEG、解像度4000px以上)について検収完了」と具体物を書きます。
メール運用の詳細は検収完了メールと受領日起算を参照してください。
2-3. 台帳への転記項目
受領日・納品URLまたはファイル名・版数・検収担当者・備考(権利書類同梱有無)を最低限記録します。
後から「どのカットセットか」が特定できる情報を残すことが監査対応にも効きます。
3. 業種別の検収ポイント
3-1. 商品撮影(EC・カタログ)
背景切り抜き・色味・構図指定・納品点数が発注書と一致するかをチェックリスト化します。
再撮影が必要な場合は差戻し日を記録し、再納品後の検収完了日を新たな受領日とします。
3-2. イベント・ウェディング映像
本編・ダイジェスト・データ納品の内訳が契約と一致するか、納期どおりかを確認します。
長尺動画はプレビュー視聴に日数がかかるため、検収期限(例: 納品から7営業日以内に指摘)を契約に書いておくと双方が動きやすくなります。
3-3. SNS用ショート動画・広告クリエイティブ
尺・テロップ・CTA・安全基準(景表法等の観点は別途)を満たしているか、マーケ担当が検収します。
複数パターン納品の場合はパターンIDごとに検収記録を分けます。
4. 支払期日と段階納品
4-1. ロケ日と納品日のズレ
撮影日と編集完了日が離れる案件では、着手金・中間金・残金のそれぞれに検収タイミングを紐づけます。
中間金だけ支払い、最終納品の検収が遅れると、残金の起算が後ろ倒しになる点に注意します。
4-2. ストックフォト・素材ライセンス
素材のダウンロード可能日を受領日とするか、ライセンス証書の発行日とするかを契約で定めます。
記載事項の整理は記載事項のテンプレートも参考にしてください。
5. 納品形式別の受領日
5-1. クラウドストレージ
共有リンクの「閲覧可能になった日」ではなく、検収権限者が内容を確認し承認した日を受領日とします。
パスワード付きリンクの場合、パスワード受領とファイル確認が同日でないこともあるため、検収完了メールの日付を正とします。
5-2. 動画レビューツール
Frame.io等でコメント修正が終わり「Approved」ステータスになった日時をエクスポートし、台帳に転記します。
ツールの承認ログは検収完了メールと同様の証跡として保管します。
5-3. 印刷物・物理納品
カタログ印刷物は到着日と品質確認完了日がずれるため、折れ・色ズレの確認後に検収完了とします。
動画と異なり物理的瑕疵の確認に日数がかかる点を契約の検収期限に反映します。
6. 実務シナリオ
6-1. EC100SKUの週次納品
ECサイト向けに100SKUの商品撮影を外注した場合、週次で20SKUずつ納品リンクが届く運用を想定します。
各週のバッチごとに検収完了メールを送り、台帳では週次バッチを別行で管理します。
1行にまとめると、第1週分の60日と第5週分の60日が混ざり、経理の期日アラートが機能しません。
6-2. イベント動画の再編集
イベント映像でテロップ修正のv2が届いた場合、v1の到着日ではなくv2の検収完了日を受領日とします。
v1時点で支払期日を起算していた場合は、差戻し記録とあわせて期日を再計算し、台帳備考に理由を残します。
7. 写真・動画検収チェックリスト
- 契約どおりの解像度・形式・点数か
- モデルリリース・BGM利用許諾が揃っているか
- プレビュー版と本納品版を区別して記録したか
- 検収完了メールまたはツール承認ログを保管したか
- 台帳の受領日と検収証跡の日付が一致しているか
8. 著作権・二次利用の検収
8-1. 利用範囲の確認
Web・印刷・SNS・広告等、どの媒体まで利用可能かを契約と納品物のメタデータで確認します。
EXIFや動画メタデータにクレジット表記要否が含まれている場合、検収時に表示を確認します。
8-2. 再編集・リサイズの許諾
自社でトリミング・色調整・テロップ追加を行う権限が契約に含まれるか、納品前に合意します。
無断編集は著作権・著作者人格権の争いになり得るため、検収チェックリストに項目を入れます。
よくある質問
Q. プレビュー用低解像度版の受領日は
契約でプレビューと本納品を分けているなら、本納品の検収完了日を起算日にします。
プレビューのみで支払期日を起算しないよう、台帳の備考欄に区別を書いておきます。
Q. USBメモリでの納品は
物理媒体到着日と内容確認完了日のどちらを受領日とするか社内ルールを決めます。
到着日を起点にする場合も、破損・形式不一致で差戻しがあれば再計算が必要です。
Q. 無修正データ(RAW)の追加納品は
契約スコープ外の追加であれば別発注として扱い、新たな検収・受領日を記録します。
当初契約に含まれるなら、同じ検収フロー内で版として管理します。
Q. 検収前にSNSへ先行公開してよいか
契約の利用開始時期・検収前利用の可否を確認してください。
無断公開は権利侵害や検収争いの原因になります。
Q. RAWデータの容量制限で納品が遅れた場合
物理媒体の発送日と到着確認日を記録し、契約上の納期遅延に該当するかを確認します。
受領日は検収完了日とし、遅延ペナルティ条項を適用する場合は双方合意の記録を残してください。
まとめ
- リンク共有はプレビューか本納品か契約で区別する
- 検収承認日を受領日とし、版数・権利確認を記録に残す
- 段階納品はバッチごとに台帳行を分ける
- 検収完了メールと台帳の日付を一致させる
注意
本記事は取適法・フリーランス新法に関する一般的な情報の整理であり、トリカク(torikaku) の機能説明を含みますが、法的助言ではありません。
個別の契約内容・取引実態については専門家にご確認ください。