取適法対応のRACI表— 法務・経理・現場・購買
公開: 2026年9月2日
取適法・フリーランス新法対応で「誰が何をするか」が曖昧だと、書面不交付・受領日未入力・60日超過が部門間でなすり合いになります。
RACI(Responsible・Accountable・Consulted・Informed)表を作ると、タスクごとの責任者と承認者が一目でわかり、少人数組織でも運用が定着しやすくなります。
本記事では法務・経理・現場(発注部門)・購買の4部門を想定した取適法対応RACI表の例と、台帳SaaSとの役割分担を整理します。
トリカク(torikaku) は台帳更新・期日可視化のハブとして、RACIの「実行」部分を支えます。
1. RACIの読み方
1-1. R(実行責任)
実際に作業を行う担当者です。入力・交付・検収メール送信などが該当します。
1-2. A(説明責任)
最終的に結果に責任を持つ1名(原則1タスク1A)です。承認・エスカレーション先になります。
1-3. C(相談先)・I(報告先)
Cは事前に意見を求める関係者、Iは完了報告を受け取る関係者です。
法務は多くのタスクでC、経営はIに配置されることが多いです。
2. 主要タスク別RACI例
2-1. 適用判定
R: 購買または現場、A: 法務、C: 経理、I: 経営。
資本金・従業員数・取引類型の入力は購買、判定結果の記録は法務が承認します。
判定手順は資本金・従業員数による適用判定を参照してください。
2-2. 発注書面交付
R: 購買、A: 法務、C: 現場、I: 経理。
記載事項の充足は記載事項のテンプレートで確認し、交付日を台帳に記録します。
2-3. 受領日・検収記録
R: 現場(検収権限者)、A: 現場部門長、C: 経理、I: 購買。
検収完了メールの送信または台帳入力を現場が行い、経理が週次で未入力を確認します。
2-4. 支払期日管理・振込
R: 経理、A: 経理責任者、C: 購買、I: 法務。
60日起算は支払60日ルールの起算点に基づき、トリカク(torikaku)ダッシュボードで超過を監視します。
3. RACI表(一覧イメージ)
| タスク | 法務 | 経理 | 現場 | 購買 |
|---|---|---|---|---|
| 適用判定 | A | C | C | R |
| 書面交付 | A | I | C | R |
| 検収・受領日 | I | C | R/A | I |
| 60日超過監視 | I | R/A | I | C |
| 取引先マスタ | C | A | I | R |
上表は一例です。自社の組織構造に合わせてAを1名に固定してください。
4. 定着させる工夫
4-1. 発注管理規程への組み込み
RACI表を規程の別表として添付し、新入社員研修で説明します。
4-2. 台帳権限との一致
SaaS台帳のロール(編集者・閲覧者・管理者)をRACIと一致させ、R以外が勝手に受領日を書き換えられない設定にします。
4-3. 週次定例でのRACI確認
エスカレーションが発生したタスクについて「Aは誰だったか」を振り返り、表の修正点を四半期ごとに更新します。
定例の型は少人数経理の週次チェックと組み合わせられます。
5. 追加タスクのRACI例
5-1. 報酬改定・仕様変更
R: 購買または現場、A: 法務、C: 経理、I: 受託者。
減額に当たる変更でないことを確認し、合意記録を台帳に添付します。
5-2. フリーランスからの相談対応
R: 購買、A: 法務、C: 経理、I: 経営。
相談内容は記録に残しますが、法的助言ではありませんと明示し、必要なら専門家へ誘導します。
5-3. 台帳データのバックアップ
R: 経理、A: 経理責任者、C: 情報システム、I: 法務。
月次CSV保存と復旧テストの記録を残します。
6. 小規模組織での兼任
10名未満の会社では、代表が法務A・購買R・経理Aを兼任することがあります。
その場合でも「検収Rは現場部門長」など、自分自身への検収は避けるよう役割を分けます。
兼任が多いほど、チェックリストとダッシュボードによる機械的確認が重要になります。
7. RACI導入チェックリスト
- 主要タスクごとにAが1名に固定されているか
- 発注管理規程の別表としてRACIを添付したか
- 台帳SaaSの権限がRACIと一致しているか
- 新入社員研修でRACIを説明したか
- 四半期ごとに表を見直したか
8. 実務シナリオ
50名規模のWeb制作会社で、これまで代表がすべて承認していた発注をRACI導入で分散した例です。
書面交付Aを法務、検収Rを制作部門長、60日監視R/Aを経理に固定した結果、代表のボトルネックが解消され、受領日未入力が2週間以内に解消されました。
ダッシュボードKPIは60日超過・未検収件数を週次定例で部門長が共有します。
8-1. 部門間トラブル時
現場が検収を遅らせ経理が超過リスクを指摘した場合、RACI表に基づきA(現場部門長)が対応責任を負い、遅延理由と再発防止を記録します。
個人間のやり取りで終わらせず、週次定例でKPIとして共有することで同種トラブルが減ります。
9. RACIと社内規程の連動
9-1. 購買規程への反映
「発注書面は購買がR、法務がA」等、RACI表の1行をそのまま規程条文に転記すると、新人でも役割が理解しやすくなります。
規程改定時はRACI表も同時更新し、版数を揃えます。
9-2. 評価制度との連動
部門長のA責任として、未検収・受領日未入力KPIを四半期目標に含める会社も増えています。
コンプライアンスを個人評価と無関係にすると、RACIが形だけになるリスクがあります。
9-3. 外部監査への説明
監査法人にはRACI表と週次定例議事録をセットで提出し、役割分担に基づく内部統制が機能していることを示します。
台帳CSVと合わせることで、記録の完全性とプロセスの両面を説明できます。
10. RACI見直しのトリガー
組織改編、新規事業部設立、M&A、フリーランス新法の施行内容変更、60日超過インシデント発生時にRACI表を必ず見直します。
見直しは年1回カレンダー固定に加え、イベント駆動で随時更新する二段構えが安全です。
更新履歴(版数・変更理由・承認者)を規程別表の変更ログに残してください。
新入社員向けオンボーディング資料にもRACI表のリンクを必ず含め、配属初日から役割を共有します。
役割不明点は購買責任者へエスカレーションする連絡先を表の脚注に記載しておくとトラブルが減ります。
四半期ごとにRACI表と実際の業務分担のズレがないか、部門長ヒアリングで確認してください。
よくある質問
Q. 法務がいない会社は
顧問弁護士または代表がAを兼務し、記載事項チェックリストでCの役割を外部に委ねる形が現実的です。
Q. 購買部門自体がない場合
総務・管理本部が購買Rを兼務するか、現場部門長が書面交付Rまで担う設計に書き換えます。
Q. Aが複数タスクで重複すると
兼任は可能ですが、Aが1タスクに2名以上いる状態は避け、最終決裁者を1名に絞ります。
Q. RACIとJobDescriptionの関係は
RACIはプロセス横断の役割表、JDは個人の職務記述書です。
両方に取適法タスクを反映させると定着率が上がります。
Q. 外部ベンダー(経理代行)をRにできますか
振込実行など一部タスクは可能ですが、適用判定・書面内容のAは社内が担うべきです。
代行範囲を契約書で明確にします。
まとめ
- RACIで適用判定・書面・検収・支払の担当を固定する
- Aは1タスク1名、Rは実行担当、法務・経理・現場・購買で分担
- 台帳権限とRACIを一致させ、週次定例でエスカレーションを振り返る
- 規程別表として文書化し、研修で共有する
注意
本記事は取適法・フリーランス新法に関する一般的な情報の整理であり、トリカク(torikaku) の機能説明を含みますが、法的助言ではありません。
個別の契約内容・取引実態については専門家にご確認ください。